九州経済調査協会(九経調)は、九州地域の調査研究を通じて、地域経済の発展に寄与することを目的として1946年10月25日に、福岡市西中洲にあった福岡商工会議所ビルで創立総会を開き、誕生しました。
波多野鼎九州大学教授、野田俊作福岡県知事、門川暴日本銀行福岡支店長の3氏が発起人となり、博多港に引き揚げてこられた南満州鉄道(満鉄)や、同調査部出身の役職員が加わってのスタートでした。そのため、設立当初から、満鉄調査部のDNAを受け継ぎ、「精神論ではなく統計やデータに基づいた調査」や「足でかせぐ調査」を気質とし、誇りとしてまいりました。
同時に、1947年4月より、九経調は福岡経済同友会の事務局を担い、調査研究活動で得られた知見を活かすことで、経済団体の政策提言を支援してきました。
以来、九州・沖縄・山口(九州地域)の経済界、行政、大学等の皆様のご支援をいただきながら事業を行ってきました。永きにわたり活動を続けてこられたのもひとえに、賛助会員をはじめとする九州地域各界の皆様のご支援とご協力の賜物であり、心より感謝申し上げます。
このような歴史と伝統を受け継ぎ、九経調は70有余年にわたって九州地域の発展に貢献する産業調査や地域調査を行ってまいりました。例えば、1950~60年代には石炭関連の調査を手がけ石炭産業の行く末と疲弊する地域の活性化策を提示してきました。1970年代初頭には自動車産業の先駆的な調査を手掛け、当時、九州には根付かないと考えられていた自動車産業の実現に貢献しました。1990年代からは半導体産業の調査を数多く手がけ、半導体産業クラスターの形成や昨今の半導体復権の基礎を築きました。2000年代に入ると、道州制の研究に集中的に取り組み、九州経済連合会や九州経済同友会とともに、道州制の九州モデルづくりに取り組みました。こうした調査活動は、九州の産業発展や地域振興の先導的な役割を果たしてきたと自負しています。
近年になると、2012年4月に事務所を電気ビル共創館に移転し、BIZCOLI(ビジネスライブラリー)を開館しました。BIZCOLIでは、年間約50回を超える講演会やセミナーを開催するなど、コミュニケーションを重視した図書館運営を続けています。2013年4月には、公益法人改革に対応して公益財団法人に移行し、組織の基盤を強化しました。2020年代に入ると、九州地域経済分析プラットフォーム「データサラダ」や、スマートフォンの位置情報を活用した人流データ「おでかけウォッチャー」と、デジタル技術やビッグデータを活かした新たなサービスの提供を開始しました。
今後、世の中の変革スピードが増すなかでいち早く時代の潮流と地域経済への影響を解き明かし、あるいは社会課題の解決に向けた独創的な政策を提示し、さらにはビッグデータを活用した新たなサービスを提供するなど、九経調は、会員のニーズに即して、地域社会の発展のために歩んでまいります。
これからも、皆様からの変わらぬご支援、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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