公益財団法人　九州経済調査協会

九州経済同友会

代表委員	青柳俊彦（九州旅客鉄道株式会社　代表取締役会長）	福岡経済同友会　代表幹事
	瓜生道明（九州電力株式会社　代表取締役会長）	福岡経済同友会　代表幹事

　九州経済同友会は、九州・沖縄８県経済同友会の連合体です。各県の経済同友会の会員は、自動的に九州経済同友会の構成メンバーになります。九州経済同友会は、各県経済同友会相互の連携、協力を図り、各々の自主性の昂揚に努めるとともに、九州経済の一体的発展を促進することを目的としています。

◆九同友は地域の発展につながる具体的な提言を発表しています

　平成17年6月に発表した九同友九州はひとつ委員会の「九州自治州構想」は、官民による九州地域戦略会議の道州制検討委員会発足につながりました。平成20年5月に「九州における地球温暖化抑制のための行動憲章」を発表し、それがきっかけとなって九州地域戦略会議の下に低炭素・九州モデル検討委員会が設立されました。このように、九同友の提言が契機となり、九州全体での新たな活動につながっています。
　また、平成23年6月には、「広域行政機構（仮称）に対する意見書」、「東日本大震災から日本復興のために～九州における電力安定供給確保のための緊急アピール」、平成25年1月には、「原子力発電・エネルギー政策のあり方に関する意見書」を発表、平成28年度は先に発生した熊本地震に際して九州各地の会員から義援金を募り熊本・大分両県に贈呈、平成30年6月には、提言「九州における人口減少・少子化対策のあり方」を発表しました。九同友は、九州経済の活性化、地域振興のために活発な取り組みを行っています。

◆令和５年度活動方針

　地球温暖化や格差拡大への対応、あるいはダイバーシティ・エクイティ＆インクルージョン（DE&I）の実現など、企業経営に大きな変革を迫る環境変化が次々と生じており、我々経済人は、経済発展と持続可能な社会とを両立させる企業経営の実践が求められている。
　また、九州各地で人口減少と域外への人口流出が続き、経済が疲弊する地域が多いなかにあっても、地域資源を活かして新たな魅力を生み出す事例が生まれている。地域経済を担う我々経済人も地域活性化実現のために、様々な方策を学ぶ必要がある。
　加えて、政府は異次元の少子化対策に取り組もうとしているなか、少子化は企業活動に甚大な影響を及ぼすこともあり、我々経済人も自らのこととして少子化対策に取り組む必要がある。
　以上の状況を踏まえ、令和５年度の九州経済同友会は、以下の３項目について重点的に取り組むこととする。

【令和５年度の重点活動】

１．社会課題解決に貢献するこれからの企業経営のあり方～持続可能な九州の実現を目指して（九同友大会）

　国内外で地球温暖化や格差の拡大、環境破壊、資源の枯渇などの課題が深刻化するなか、自社の利益のみを追求するような企業の経営姿勢に対して批判が高まっている。
　こうした状況下で企業は、脱炭素の取り組み、貧困撲滅への貢献、あるいはDE&Iの実践など、従来以上に社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献することが求められている。
　そこで、九州経済同友会大会では、自社の利益を確保しつつ、社会課題解決に向けて貢献する企業経営のあり方について討議し、そこで得られた知見を会員企業が実践に移すことで、経済発展と持続可能な社会が両立する九州の実現を目指す。

２．地域資源を活かした新たな活性化策の実現（会員合同懇談会）

　九州各地で地方創生に取り組んで来たが、大半の中小都市や農山漁村地域では、依然として人口減少と経済の低迷が続いている。しかし、こうしたなかでも一部地域では、若者が根付き、新たな感性と新技術の導入等により、固有の歴史・文化に根ざした地域資源を活かして商品開発や情報発信等に取り組み、地域の魅力を高めている地域が存在する。
　会員合同懇談会では、こうした先進的な地域を視察し、新たな地域活性化の可能性について検討する。

３．人口減少・少子化対策の実践（提言「九州における人口減少・少子化対策のあり方」のフォローアップ）

　九同友では、平成３０年６月に提言「九州における人口減少・少子化対策のあり方」をまとめた。提言では、人口減少・少子化の進展は企業活動にも甚大な影響を及ぼすため、経済界も自らのこととしてこの問題に対処すべきと訴え、提言のフォローアップとして、会員各社による正社員化や賃金アップ等に取り組むとともに、各県経済同友会で婚活パーティーを実施するなど具体的な活動に取り組んできた。
　折しも、政府は異次元の少子化対策に取り組もうとしており、九同友では引き続き各県経済同友会や他団体と連携しながら、提言の実現に向けた取り組みを推進する。