2010年8月号
A4版・64頁
2010年8月号
◎九州の景気
緩やかな回復続くも、懸念される円高の影響
◎論文・レポート
九州の山間・離島地域における地域医療の実態と取組
◎ワンポイント解説
動き出す九州の土地取引
◎Generation Z
東京での就職~初任給格差、約5万円が条件
内容
九州の景気:緩やかな回復続くも、懸念される円高の影響
2010年4~6月期の九州地域景気総合指数(CI)の一致指数は88.6と前期を5.8%上回り、2期連続の大幅な上昇となった。一方、内閣府「景気 ウォッチャー調査」現状判断DIは、前年末から今年4月にかけての上昇ピッチに比べ、やや足踏み感がみられた。生産活動はリーマンショック後の大減産の反 動増が一巡し、一時期ほどの伸びはみられないが、堅調である。しかし、その牽引役が変わりつつあることに注目しなければならない。また、設備投資面でも、 未だ底入れしたと判断するまでに至っていない。非居住用着工建築物床面積の推移をみると、現在、ようやく下げ止まっているが、反転力に欠いた弱い状態が続 いている。消費については、自動車や家電の駆け込み需要や所得環境の変化により改善しているが、今後、円高による企業業績の悪化による所得マインドへの影 響に加え、再び雇用や設備の過剰感を高めかねない。
論文・レポート:九州の山間・離島地域における地域医療の実態と取組
近年、地域医療への関心が高まっている。その背景には、安全・安心の根底を支える医療の地域格差の拡大や、高齢化や厳しい国家財政、地方財政による将来 不安があり、そのなかでも、今後山間地や離島といった条件不利地の医療をどのように維持するのかという問題は、より深刻である。へき地医療の充実のために は、まず、へき地で働く医師を確保しなければならない。さらに、へき地では初期対応や救急医療を住民自らが行わなければならないことから、住民の対応領域 を広げるとともに、地域住民各自の連携が欠かせない。
ワンポイント解説:動き出す土地取引
売買による土地所有権移転個数をみると、2010年1~3月期より、九州や九州を含む三大都市圏以外の地域において、減少幅が縮小し始め、九州は4月か ら2カ月連続のプラスとなった。現在のところ、九州では、足下の住宅着工戸数等をみる限り、不動産建設の動きは依然として低調に推移しているが、着実に土 地取引が動き出していることを考慮すれば、全国、三大都市圏より多少遅いタイミングとなるものの、来年初頭を目途に不動産建設は回復傾向に転じるものと思 われる。
Generation Z:「東京での就職~初任給格差、約5万円が条件」
学生に就職時に重要視する条件を尋ねた結果、約半数の学生が「勤務地」と回答し、九州・山口で働きたいと考えている学生は約6割を占めた。首都圏で働く場合には給料にして月間5万円増額を求めるなど、地元志向が強い結果となった。