2010年7月号

2010年7月号

A4版・62頁

非売品

2010年7月号

◎特集 森林資源~その保全と活用
 加速化する山林売買と土地制度の盲点
 「森林環境税」による地方自治体の独自施策の展開可能性
 低炭素社会に向けた木質バイオマス活用によるCO2削減の可能性
◎Generation Z  5社以上の地場企業を回答できた学生、わずか3割
 

内容

加速化する山林売買と土地制度の盲点

 現在、日本各地で山林売買が加速している。木材や水を生産し、CO2を吸収する資源とみられる森林には先行投資の思惑も働き、不動産業者など異業種の企 業による山林買収が活発化しているためである。しかし中には植林放棄という非合法行為を前提に参入するものもあり、現実に九州では再造林放棄地が拡大して いる。森林は重要な国土資源であることから、売買にあたって国土資源保全の観点から慎重な対応が求められるが、山林売買の実態把握が難しく、売買規制もな いため外国人でも容易に所有することができる。したがって、今後、山林の地籍調査を早急に実施する必要があるほか、価格および使用目的について公的な チェックがなされる仕組みを整備する必要がある。

「森林環境税」による地方自治体の独自施策の展開可能性

 森林の荒廃が顕著になるなか、各都道府県において間伐事業等を使途とする地方独自課税「森林環境税」が創設されている。その多くは県民税に上乗せする方 法で課税されるため、税収は人口規模により県間に大きな差が生じ、森林面積が大きく林業が盛んな県ほど税収が少ない傾向となる。このように財源の規模が限 られることから、同税を活用した間伐事業は間伐率を高めに設定する強度間伐が事業要件となっている場合が多く作業自体の経済性、効率性を優先する傾向にあ る。しかし、風害やシカによる食害、材積成長量の低下等のリスクも孕むことから、既存の間伐事業の補完する形で効果的に用いる必要がある。

低炭素社会に向けた木質バイオマス活用によるCO2削減の可能性

 2020年の温室効果ガス排出量1990年比25%削減を実現するためには、中小企業の排出削減を推し進める必要がある。実際、九州7県の産業部門によ るCO2排出量うち中小事業所が54.9%を占めると推計され、削減の余地は大きい。このような中小事業所の削減を進める目的で国内クレジット制度が導入 された。同制度は中小企業が削減した温室効果ガス排出量分をクレジット化し大企業が買い取る制度で、この制度を活用し、九州では木質バイオマスを原燃料と するバイオマスボイラーへの転換が進んでいる。今後は、ボイラーの利用が多く、かつ九州にも数多く分布する温泉施設や食料品製造業、施設園芸等での同制度 を活用した事業展開が有望視される。

新連載:Generation Z 「5社以上の地場企業を回答できた学生、わずか3割」

 1990年代生まれの大学生・専門学校生に対し地場企業の知名度を聴取した。その結果、5社以上の地場企業を正確に答えた学生は全体の3割であった。そ の他、知名度の高い企業のランキングでは、3位にファミレスのジョイフルがランクインするなど、総じて日常生活に密着した企業や商品の知名度が高く、製造 企業はほとんど知られていないという結果になった。

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