2009年11月号
A4版・64
2009年11月号
◎九州の景気
「持ち直し」から「回復」へ
◎論文・レポート
九州の自動車産業の新段階
◎ワンポイント解説
ボトムからの反発力強い九州の生産活動
内容
九州の景気 「持ち直し」から「回復」へ
当会で作成している九州地域景気総合指数の一致指数(2009年7~9月期)は78.9と前期を2.7ポイント上回り、2期連続のプラスとなった。月別 にみても5カ月連続のプラスである。7~9月期の鉱工業生産指数は、前期を10.7%上回った。上昇業種も、4月~6月期は電子部品・デバイスと自動車の 2業種によるものだったが、今期はそれ以外の業種の寄与率が約4割にまで達し、上昇業種に広がりが見られる。消費は、政策効果やシルバーウィーク効果によ り、引き続き堅調に推移したものの、今後、賞与の減少など所得環境面が回復の足かせになる懸念もある。九州の景気の現状は、外需の回復を背景に生産を中心 に明るさを増しているものの、円高下における外需偏重の需要構造やグローバルな規模で進むデフレにより、企業業績へのプラス効果は限定的なものとならざる を得えず、前途多難な回復局面入りといえよう。
九州の自動車産業の新段階 -量的な成長を超えて-
2000年代後半に急速に成長した九州の自動車産業は、昨年秋より深刻化した世界同時不況の影響を受けて、生産台数の大幅な減少と非正規従業員を中心と した多くの失職者が発生した。九州の自動車産業は、今後、量的な成長から、質的な成長へシフトしていかなければならない。本稿では、九州の自動車産業が新 たな段階へとステップ・アップするうえでの課題として、雇用構造の変化に焦点をあてて解説している。今回の世界同時不況を契機に、国内の自動車生産は集約 化が進められると思われるが、九州はその受け皿となる可能性が高い。そのためには、人材サービス業や非正規従業員を支援・育成する施策を講じ、九州の自動 車産業を支えていく優秀な人材を豊富に供給しつづけることが必要である。
ワンポイント解説 ボトムからの反発力強い九州の生産活動
世界経済がようやく回復し、輸出需要が急回復している。2008年における九州の製造品出荷額等は22.9兆円(前年比1.1%減)となっており、全国 (同比0.8%減)より減少幅が大きかった。しかし、鉱工業生産指数を、2009年1~3月期から直近8月までの回復度と、リーマンショック前の08年の 上半期のピーク時比をみると、九州における09年1~3月からの上昇率は26.4%と他地域より突出して高い。九州は他地域と比べ、減産幅が大きい地域で あったが、いち早く、生産の回復が進んでいる地域だといえる。