2009年5月号
A4版・76頁
2009年5月号
◎九州の景気
一部に明るさも低迷続く
◎論文・レポート
変容する福岡都心地区の創業機能~大名・今泉一極集中の緩和と分散
福岡市における美容室の立地動向と特性
◎ワンポイント解説 九州・山口の郊外型ショッピングセンターランキング
内容
九州の景気 一部に明るさも低迷続く
九州地域景気総合指数(CI)の一致指数は、2009年1~3月期に79.5(2000年=100)と、6期連続で下降した。先行指数も8期連続で下降 している。しかし足もとでは、3月の一致指数は76.4で前月比2.6ポイントの低下したが先行指数は75.6と同0.1ポイントの低下にとどまった。内 閣府がとりまとめている景気ウォッチャー調査の九州地域現状判断DIは、4月は32.2と水準は依然低いものの4カ月連続で上昇した。状況は依然厳しいこ とに変わりはないが、最悪期は脱し、一部で改善の動きがみられる。鉱工業生産指数は72.4と3期連続でマイナスとなった。しかし3月については70.8 と前月比2.6ポイント上昇し、6カ月ぶりにプラスに転じた。電子部品・デバイスや輸送用機械などで在庫調整が進み、減産幅が縮小したためである。一方 で、投資や個人消費は依然として低迷が続いており、雇用環境も悪化が続いている。以上のように現時点では本格的な回復に向けた目処は立っていないが、在庫 調整が進展したことで生産面では、一部で底入れの気配が伺える。
変容する福岡都心地区の創業機能~大名・今泉一極集中の緩和と分散
近年、地価の上昇や域外大手企業による商業開発を契機として、福岡都心地区で商業機能の変化が起きている。パーソントリップ調査や商業統計表をみると、 近年、天神地区に大型商業施設が相次いで立地したことで都心への買物トリップは増加し、天神地区における小売販売額は伸びた。しかし大名・今泉地区では逆 に販売額は減少している。物販・飲食業など若手創業者の創業地として注目されてきた大名・今泉地区への一極集中傾向が緩和され、創業地は都心地区内で分散 する傾向にあるためである。その要因としては、注目されるトレンドスポットの分散、創業者(新規出店)の減少、スペースなどテナントニーズのミスマッチな どがある。大名・今泉地区の商業を再度活性化させる方策としては、フリーマーケットスタイルやスペースオーナーシステムなど、遊休スペースを若手創業者が チャレンジする場として提供し、集客力を持たせる手法で再生していくことが望まれる。
ワンポイント解説 九州・山口の郊外型ショッピングセンターランキング
九州・山口における65の郊外型ショッピングセンター(CS)地区の販売額ランキングをみると、2006年度の小売販売額では1位「ゆめタウン久留 米」、次いで「イオン宮崎ショッピングセンター」であった。面積当たり販売額では1位「びっくり市地区(直方市)」、2位「鳥栖プレミアムアウトレッ ト」、3位「ザ・モール周南」となった。このうち「びっくり市地区」と「ザ・モール周南」では、店舗面積に占める売場面積の割合が低く、娯楽的施設や公共 サービス的機能などを付設することで吸引力を高め、販売効率を高めているものと考えられる。