2009年2月号
A4版・62頁
2009年2月号
◎論文・レポート
九州の景気~急速に悪化
進行する内食回帰傾向
◎シリーズ 九州の大規模工場 株式会社 トクヤマ 徳山製造所
◎ワンポイント解説 再び低下した県内就職率
内容
九州の景気~急速に悪化
2008年10~12月期の九州地域景気総合指数(CI)の一致指数は91.7となり、前期差で9.4ポイント低下し、5期連続で前期を下回った。また、2009年1月の景気ウォッチャー調査の九州地域現状判断DIは16.7となり、景況感は急速に悪化している。
2008年10~12月期の鉱工業生産指数は98.0となり、前期から大幅な低下となった。投資関連では、非居住用着工建築物床面積が大幅に減 少した。個人消費は依然低迷が続いており、有効求人倍率も前期から低下している。生産と投資が急速に落ち込むとともに、雇用・所得環境が悪化し、消費も低 迷していることから、九州の景気は急速に悪化している。
進行する内食回帰傾向
九州の大型小売店販売額をみると、衣料品の販売不振が続く中で飲食料品は前年を上回って推移しており、特にスーパーにおける販売が堅調となっている。ま た、家庭における食料品支出も3期連続で前年を上回っており、消費支出に占める食料品の割合も増加傾向にある。食料品支出が増加している要因として、小麦 粉高騰によるパン・めん類価格の上昇のほか、外食を減らし、家庭内での調理にシフトする「内食回帰」の影響が考えられ、それを反映して生鮮肉や調味料、調 理食品への支出が増加している。一方、外食への支出額は減少が続いている。
九州の大規模工場 (株)トクヤマ 徳山製造所
周南市に立地する(株)トクヤマ徳山製造所は1918年に商業資本により興された総合化学工場である。同工場は創業時のソーダ灰事業から、セメント、電 解ソーダ、石油化学、スペシャリティ・加工型事業など多様な分野に進出し、多岐にわたる製品を生産している。現在、同社の成長を引っ張っているのは多結晶 シリコンや乾式シリカなどの特殊品事業であり、多結晶シリコンでは世界最高水準の純度を達成している。地域への図書の寄贈や水素タウンモデル事業など地域 貢献や環境にも注力し、さらに創立100周年を見据えた経営ビジョンを掲げ、グローバルな競争力を持つ企業に成長させていく戦略を進めている。
ワンポイント解説 再び低下した県内就職率
九州8県における高校新卒者の県内就職率は、1998年度が68.1%、2003年度が71.3%、08年度が63.0%となった。2003~08年度 にかけての低下については、団塊世代の大量退職に伴い新規学卒採用が増加する中で、労働需要が大きく逼迫度も高い東海圏を中心とした都市部に人が流れたた めと考えられ、東海圏への就職率は03年度比3.9ポイント上昇し9.1%に達した。また、九州各県の福岡県への就職率は佐賀県を除くすべての県で上昇 し、5.1%となった。