2008年12月号

2008年12月号

A4版・58頁

非売品

2008年12月号

◎論文・レポート
  カーエレが開く九州の新たな可能性
  グローバル化の深化と北部九州を中心とする地域中小企業の課題
◎シリーズ 九州の大規模工場  株式会社 ホンダロック
◎ワンポイント解説  ブレーキかかる北部九州における自動車産業の集積
 

内容

カーエレが開く九州の新たな可能性

 ハイブリッド車の車両価格の半分は電子部品が占める。それ程に自動車のエレクトロニクス化が進む中で九州では自動車産業と半導体産業の融合が期待されて いる。しかし、九州の自動車、半導体、ソフトウェア関連企業のうち、カーエレ事業に取り組んでいるのは1割程度である。電装品は軽量なため経済的に遠方か らの調達が可能なほか、九州に電子部品組立を行う工場が少ないため、九州産の電子部品等も本州の電装品メーカーへ一旦納入される現状にある。一方、カーエ レ分野において九州に可能性があるのは、高度交通システム分野である。交通情報の提供や地域情報コンテンツの作成等では自治体・警察の協力、実証実験では 地元の大学・研究機関の協力が不可欠となるためだが、実験を踏まえ研究開発、製造まで一貫して九州が手がけるには、研究開発を支える人材の育成が求められ る。

グローバル化の深化と北部九州を中心とする地域中小企業の課題

 中小製造業は、グローバル化に伴い中国の価格が国内取引においてもベンチマークとして判断される環境下で、改良・改善のレベルでは達成不可能なコストダ ウン要請を迫られている。しかし、北部九州の中小製造業では、東大阪市や大田区のようなオープンビジネスモデルを採用している企業が少なく、域内取引が中 心である。そのため、グローバル化に対する危機意識に乏しい可能性がある。他地区においては他社との連携によるイノベーションでグローバル化による大競争 時代に立ち向かう事例が散見されるが、北部九州に、同様のオープンな風土を形成するためには、意識改革とそれに向けた経済団体・産学連携での勉強会等の 「場」づくりが重要となる。

九州の大規模工場 ホンダロック株式会社

 宮崎市に立地するホンダロック(株)は、1962年、本田宗一郎氏の個人出資により設立され、自動車・二輪車のキーやロック、ホイルセンサー等を生産す る。同社最大の特徴は、一気通貫と呼ばれる生産体制にある。それは近くに協力工場がなかったために、多くの工程を内製する必要があったためであるが、一方 で取引企業の育成や人材育成にも注力している。地場企業の自動車産業進出、取引拡大に向け同社幹部が講師となり「品質勉強会」を主催しているほか、宮崎大 学工学部と産学官連携に関する基本協定を締結し、人材育成等の事業を本格化させるなど、地域経済における存在感は際立っている。

ワンポイント解説 ブレーキかかる北部九州における自動車産業の集積

 2008年における九州7県の自動車関連部品企業の進出・参入件数は32件となり、前年から20件減少し、自動車関連企業の進出は一服している状況にあ る。ただ、進出・参入件数を県別にみると、福岡県と大分県が目立つ状況に変わりはない。ただし、両県においても、前年を大きく下回っている。

蔵書検索

キーワード検索では、書名、内容、特集記事、著者、出版社、関連ワード、などのキーワードをお書きください。

70周年記念事業

BIZCOLI

datasalad

九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアム事務局

〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2丁目1番82号電気ビル共創館5F
TEL : 092-721-4900

アクセスマップ