2008年11月号
A4版・60頁
2008年11月号
◎論文・レポート
九州の景気 調整局面へ
◎シリーズ 源流を辿る 真珠
◎ワンポイント解説 開業率が廃業率を下回る九州・山口の事業所
内容
九州の景気~調整局面へ
九州地域景気総合指数(CI)の一致指数は、2008年7~9月期に101.1(2000年=100)と4期連続で下降した。先行指数も2007年の 7~9月期以降、6期連続で下降している。また、内閣府がとりまとめている景気ウオッチャー調査の九州地域現状判断DIは2008年度に入って下落傾向が 続いており10月は2000年1月の調査開始以来最低水準となる19.9となった。生産は世界経済の急激な減速や市況の悪化を受け、自動車生産や半導体生 産が落ち込み、鉱工業生産指数は7~9月期で109.3と前期比1.6の減少となった。輸出は依然プラスで推移しているが増加幅は縮小傾向にある。新設住 宅着工戸数は改正建築基準法の反動増から前年同期49.7%増となったものの住宅需要は低迷している。個人消費は依然として振るわず、雇用も有効求人倍率 の低下が続いている。以上のように九州の景気は調整局面にある。
源流を辿る 真珠
真珠は日本で養殖技術が確立され、現在では様々な種類の真珠が世界中で養殖されている。日本ではアコヤ真珠が中心で、長崎県は日本の真珠生産量の 31.8%を占め、そのうちの50.1%を対馬が占めている。対馬では、石油ショック等により不況となったイカ釣り業から真珠養殖業に労働力が流入し、真 珠不況時においても他に有望な産業もなっかたことから廃業する業者が少なく、真珠養殖業が定着、発展してきた。真珠養殖は、ほとんどが手作業によるもの で、その多くを女性の臨時雇用作業員が担っている。真珠は入札会を通しての取引が主であるが、中小養殖業者の中には、宝飾加工業者や、養殖から加工、販売 まで行う(株)ミキモト等の大手一貫業者と直接取引するものもある。また、真珠はダイヤモンドのような鑑定制度がなく、下級品が最高級品を表わす「花珠」 鑑定書付きで販売されていることも多い。一部の業者が目先の利益を追うことで、真珠のイメージを低下させており、今後はブランドの再構築を図っていく必要 がある。
ワンポイント解説 開業率が廃業率を下回る九州・山口の事業所
九州・山口における事業所の開業率・廃業率(民営事業所・非農林水産業)の動向を見ると、2001~06年における開業率は4.7%、廃業率は5.8% となり、廃業率が開業率を1.1ポイント上回り、1986~01年以降廃業率が開業率より高いという状況が続いている。そのため、九州・山口の事業所数は 減少傾向にあり、2001~06年では6.3%減となる49,163所が減少している。県別の状況をみると、2001~06年では九州・山口の全ての県に おいて廃業率が開業率を上回っている状況にある。開業率が比較的高い県としては沖縄県(6.9%)と福岡県(5.0%)がある。これらの地域には、産業の 特性上、開・廃業率が比較的高い飲食店・宿泊業や情報通信業が集積しており、それが開・廃業率が高い要因となっているものと考えられる。