2008年4月号
A4版・58
2008年4月号
◎論文・レポート
九州における鉄鋼産業の現状と課題
◎シリーズ 源流を辿る
ミネラル・ウォーター
◎ワンポイント解説
増加する外国人登録者
内容
九州における鉄鋼産業の現状と課題
鉄鋼は1970年代以降、生産量の面では停滞が続いていたが、2000年以降回復している。復活の要因としては、世界的な経済成長を受けて新興経済国を中心に世界的に鉄鋼需要が増加していることと、自動車や造船など国内製造業の需要が旺盛なことが挙げられる。
鉄鋼の製造方法には、高炉と電炉の二種類があるが、九州においては高炉による生産の比率が全国より高くなっており、高炉の比率は9割近くにのぼ る。九州の高炉メーカーは高級鋼の生産に強く、電磁鋼板や自動車用鋼板、造船向けを中心とした厚板や熱延鋼板(ホットコイル)などを生産している。
今後も鉄鋼各社は、新興国の需要増により、生産能力を増強する動きをみせている。しかし、中国メーカーの増産やアメリカ経済の減速懸念があるこ とから、輸出は減少すると予想される。もう一つの課題は、原材料価格の高騰である。コスト増を鉄鋼メーカーだけで吸収することは困難になりつつある。鉄鋼 製品価格は需要家との個別交渉によって毎年改定され、一部の業界では値上げによる価格転嫁も進んでいるが、交渉がまとまっていないものもあり、今後の課題 となっている。
源流を辿る ミネラル・ウォーター
日本におけるミネラル・ウォーターの国内生産量はこの20年で21倍となり、輸入もまた増加を続けている。飲料水を買う習慣がなかった日本でも、ミネラ ル・ウォーターを飲む習慣が定着しつつある。ミネラル・ウォーター類の生産量の県別シェアでは、山梨が4割を占めているが、九州の存在感も増している。水 資源の豊かな九州には多くの小規模メーカーが存在し、加えてローカルなスーパーマーケットチェーンも多いことから、進出してきた大規模小売店との間でミネ ラル・ウォーター類の低価格競争が生じている。今後は、低価格競争を免れるためにも、自社製品の機能性を的確に把握し、ブランド力を高めていくことが重要 である。
ワンポイント解説 増加する外国人登録者
九州・山口の外国人登録者数は前年より2.2%増加し、11万985人となっている。県別には、2007年で福岡県が九州・山口の42.5%を占める。 登録者数はすべての県で増加しており、1997年末と比較すると36.5%増となっている。特に、アジア太平洋大学(別府市)が開学した大分県 (93.8%増)と、農業や繊維・衣服製造業を中心に外国人研修生の受入れを拡大している熊本県(77.3%増)が高い伸びを示している。国籍(出身地) 別では中国が多く、2005年以降、韓国・北朝鮮を上回っている。在留資格別では、留学や特定活動、研修が多く、また人文知識、国際業務や投資・経営でも 増加が進みつつある。