2008年2月号
A4版・60頁
2008年2月号
◎論文・レポート
九州の景気 強まる景気の減速感
2025年の九州経済~道州制導入後の九州経済の長期予測
◎新・景気指標を読む
『離職票提出件数でみる完全失業者の動向』
◎ワンポイント解説
九州の家電販売市場
~シェア高まるヤマダ電機、海外シフト強めるベスト電器
内容
九州の景気 強まる景気の減速感
2007年10~12月期における九州地域景気総合指数の一致指数は125.9と、前期から1.7ポイント上昇したが、足元の11、12月は2カ月連続 で低下している。主要項目をみると、生産関連は鉱工業生産指数が前年比3.1%上昇し、引き続き好調である。投資関連では製造業を中心とした設備投資マイ ンドは強いものの、公共投資は前年比6.5%減、住宅投資も33.8%減となっている。なお、雇用は求人数が減少傾向にあるとはいえ、採用マインドは大き く落ち込んでおらず、緩やかな回復が続いている。一方で個人消費関連は徐々に生活必需品へ物価上昇が波及し、消費マインドが低下するなどから、総じて九州 の景気は減速感が強まっているとみられる。
2025年の九州経済~道州制導入後の九州経済の長期予測~
道州制が導入された場合、九州経済にどれほどのインパクトを与えるのかを定量的に把握するため、 1.一体的政策による地域競争力の向上、2.権限拡大 による産業基盤整備への重点配分、3.行政コスト削減とその再配分、がなされるものとし、2025年における九州経済長期予測を行った。積極的に道州制導 入を進めた場合には、2015~25年の年平均成長率が2.1%となり、全国の成長率1.7%を上回るが、道州制を導入しなかった場合は0.9%にとどま る結果となった。したがって、全国を100とした場合の1人当り域内GDPは2005年82.9から25年には85.3へ縮小し、人口も転出超過から約3 万人の転入超過になると見込まれる。
新・景気指標を読む『離職票提出件数でみる完全失業者の動向』
完全失業率は雇用関連の代表的指標である。完全失業率は完全失業者数を労働力人口で除した値である。そこで、完全失業者数の先行きを占うために雇用保険 の離職票提出件数をみてみると、2006年7~9月期から増加傾向にあったが、2007年4~6月期以降、増加幅は縮小する方向にある。過去の推移から離 職票提出件数は完全失業者数から約1年程度の先行性があることから、2008年上半期においては九州の失業率が今以上に悪化することはないと考えられる。
ワンポイント解説 九州の家電販売市場~シェア高めるヤマダ電機、海外シフト進めるベスト電器
九州における家電量販店の売上高をみると、2006年度におけるヤマダ電機の売上高は1,576億円となり、過去5年間で108.1%増加した。その結 果、ベスト電器を抜いて九州における家電販売市場でトップのシェアを占めるに至った。一方、ベスト電器は、他の量販店より海外へのシフトが進んでいる。 2001~06年度にかけて海外の店舗による売上高はほぼ倍増(94.4%増)し、同社の店頭販売額に占める割合は5.9%から11.8%へ上昇してい る。