2008年1月号

2008年1月号

A4版・68

非売品

2008年1月号

◎九州経済の見通し 
  生産拡大で、2008年度の経済成長率1.6%に
◎論文・レポート
 九州の素材関連産業における高付加価値化の実態と課題 
◎源流を辿る
 植木
 

内容

2008年度の九州経済見通し~生産拡大で、2008年度の経済成長率1.6%に

 2007年度の九州の実質経済(GRP)成長率(推計)は、0.9%とし、2007年9月予測時から1.0ポイント下方修正した。家計部門や公共投資は 低調だが、設備投資が全体を牽引するという判断に変りはない。しかし、改正建築基準法の施工による影響が予想以上に大きく、2007年度におけるGRP成 長率を大幅に下方修正した。
 2008年度における九州の実質経済成長率は、プラス1.6%と、前年度と比べ0.7ポイント拡大すると見込んだ。民間企業設備投資は、改正建 築基準法施行による着工遅れの影響から、2007年度計画の一部が次年度にずれ込むこと、これまでの大型投資が引き続き関連工場の立地等を誘発することを 見込み、前年度比1.7%増とした。2008年度は大型投資が一巡し、増加率は縮小するが6年連続での前年度比プラスを達成する見通しである。公共投資 は、事業費全体は縮小傾向にあるが、九州新幹線鹿児島ルート関連事業に予算が重点配分されることから、ほぼ前年度並みに推移すると見込んだ。また、民間最 終消費支出は、所得、消費マインドとも、にわかに上向くとは考えにくい情勢にあり、前年度比0.5%増と低調に推移する見込みである。
 民間設備投資の一巡と消費不況から、今後の九州経済を牽引するのは純移輸出となるであろう。しかし、サブプライム問題等で失速が懸念される米国の景気や為替レートの動向によっては下振れするリスクも孕んでいる。

九州の素材関連産業における高付加価値化の実態と課題

1980年代後半に低迷していた鉄鋼、化学等の素材関連産業は、近年、急速な回復を見せており、2006年には鉄鋼で歴代3位となる水準の生産量を、化学 では売上高過去最高を記録した。その立役者は、エレクトロニクス業界や自動車産業等を支える機能性材料や超精密加工部品など「高付加価値材」である。
 九州の素材関連産業は、全国シェア6.2%を占め、重要な地域の主導産業となっている。九州には自動車向け高付加価値鋼材に強い鉄鋼、半導体・ FPD産業に材料を提供する化学・ファインケミカル、陶器・衛生陶器や半導体・FPD産業関連のファインセラミックス等、高付加価値材を提供する企業・事 業所が立地している。
 九州の素材関連産業の高付加価値化を阻害する最大の課題として、製造に特化し、商品企画、研究開発、購買、営業等の自立的な活動ができない企業 や事業所が多いことがある。したがって、今後、九州の素材関連産業の高付加価値化を進めていくには、研究開発体制の強化やカスタマー産業との深い連携、技 術応用による新分野・事業への展開等が求められている。

シリーズ:源流を辿る 植木

 九州は庭木や街路樹等の「植木」の生産面積で全国の3割強を占めている。なかでも福岡県久留米市(旧田主丸町)は、全国の10.9%、九州の33.6% (2005年)を占め全国1位となっている。植木は個人住宅等の「個人需要」、工場等の「企業需要」、街路樹等の「公的需要」がある。植木は市場を介さな い市場外流通の割合が7割程度を占めるが、旧田主丸町の市場流通分についてみると、個人需要向けは約8割が九州内となっているが、高品質なものが要求され る一部の大型建築物向け(公的、企業需要)では、関東まで流通しているものもある。
 しかし、住宅様式の変化による個人向け需要の減退や、公共事業の縮小による公的需要の減少により、生産面積自体は減少傾向にある。生産者側ではリスク低減のため、多品種・施設栽培にシフトしつつある。

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