2007年7月号
A4版・80頁
2007年7月号
◎論文・レポート 福岡都心特集
1 大名・今泉地区における住・商空間の変化
2 局地的に地価高騰する福岡市都心
3 居住地として見直される福岡市都心
4 オフィス床の大量供給控える福岡市都心
◎源流を辿る 輸入切り花
◎新・景気指標を読む 紳士用衣類等の動きで、消費動向を占う
◎ワンポイント解説 昼夜間人口比率を押し上げる商業施設・工場の立地
内容
1.大名・今泉地区における住・商空間の変化
近年、福岡市の大名・今泉地区では、地場や中央資本の不動産投資ファンドやデベロッパーによる開発が盛んに行われており、街の様相が変わりつつある。本 特集では、大名・今泉地区の居住者の変化、小売業・サービス業・飲食業の店舗数や立地の変化を街区レベルの詳細データをもとに住空間・商空間の機能変化に ついて分析した。
「住空間」としては、大名地区は人口減少・高齢化が進みつつあるのに対し、今泉地区ではマンション開発が進み、単身若年層だけでなく、団塊Jr ファミリー、団塊世代まで、広い年齢層で流入が見られる。「商空間」としては、小売店舗数・販売額が増加するとともに、販売品目は飲食料品等の「居住者指 向」から衣料品店等の「入込客指向」へ変化し、飲食店では客層の低年齢化が進み、居酒屋等が増えている。
インキュベーション機能=「起業空間」としては、大名地区はその機能を低下させており、2002年以降は新興「起業」集積地として、「平尾・今 泉・警固・薬院」や「春吉・西中洲」が台頭しつつある。近年、大名・今泉地区では、不動産ファンドや中央資本のデベロッパーによる街のリニューアルが急速 に進みつつあり、これらの商業ビルではかなり高い賃料設定がなされている。大名地区への出店意欲は依然として高いが、これらの新規開発物件と地元の出店希 望者の間で、面積や賃料設定などでズレ・ミスマッチが発生している。
2.新シリーズ:源流を辿る 輸入切り花
輸入切り花は、この10年で2.4倍に増加し、2006年で国内流通量(生産+輸入-輸出)31.1億本の15.1%を占める。輸入相手国としては、以 前はタイやオランダが多かったが、最近はマレーシア、韓国、中国が増えている。税関別のシェアをみると1位・2位は成田空港、関西空港であるが、3位は下 関港、4位が福岡空港となっており、北部九州は切り花の輸入拠点となっている。拠点となっている理由としては、下関港はアジア諸国への国際フェリー航路が 充実し、船舶による安価な輸送手段を提供していること、福岡空港についてはマレーシアからの輸入の約4割を扱っている宗像市の花商社が、積極的に活用して いることが挙げられる。
3.新シリーズ:新・景気指標を読む 紳士用衣類等の動きで、消費動向を占う
紳士用衣類等への支出は消費全体の1%を占めるにすぎないが、紳士用衣類等への支出と、消費支出全体がピークアウトする月を比較すると、4カ月程度の先 行性が認められる。九州においては、紳士用衣類等への支出は、谷からの回復・上昇局面において、消費全体に対し、わずかに先行性が認められることから、3 月で底を打った紳士用衣類等の動きをもとに、今後の九州の消費動向を占うと、4、5月に続き6、7月も回復傾向が期待できる。