2007年5月号
A4版・68頁
2007年5月号の要約
◎論文・レポート
九州の景気 ~足取りの重い回復
地方都市におけるゲーム産業発展の可能性
福岡市における基幹産業の現状と課題
◎ワンポイント解説
2006年の家計消費
内容
1. 九州の景気 ~足取りの重い回復
2007年1~3月期における九州地域景気総合指数の一致指数は、前期差1.2ポイント上昇し123.3(2000年=100)となった。ただし、月次で は2月、3月と前月比マイナスとなっている。主要項目をみると、生産関連は、一般機械や乗用車等がマイナスとなり、低調であった。投資関連は、2007年 度の民間企業設備投資計画(日銀福岡支店調)が前年度比11.6%増となる等、好調である。個人消費は、大型小売店販売額こそ28期ぶりのプラスとなった ものの、その他の指標は低調である。総じて九州の景気は、投資関連は好調であるものの、生産活動が減速し、個人消費も低迷から脱しておらず、回復の足取り は重い。
2. 地方都市におけるゲーム産業発展の可能性 ~福岡に立地するデベロッパーの実態分析を中心に
ゲームソフト開発は、これまで資本力のある限られたパブリッシャーのみが企画・宣伝・開発・販売の全てを担っていた。現在は技術の高度化に伴う開発コスト の増加等から開発工程の分業化が進み、多くの企業に参入の余地が生まれ、地方都市でも集積可能な条件が整いはじめた。福岡市に立地する3社のゲームソフト 製作会社によれば、福岡市は外注先が少ないというデメリットはあるものの、快適な仕事環境と開発人材が確保できる環境に優れており、首都圏以外では例外的 にゲーム産業が集積する都市のひとつとなっている。
3. 福岡市における基幹産業の現状と課題
福岡市は卸売・小売業、食料品製造業を基幹産業とし、域外から所得を稼得することで発展してきた。しかし、卸売・物流機能の市外流出や、小売業の吸引力低 下、製造業の移転・集約と市外流出により、福岡市の基幹産業は減衰傾向にある。また、高齢化と人口減少は、福岡市が拠って立つ九州の市場をさらに縮小させ るとみられる。今後福岡市は、“外から稼げる”産業の強化と育成を重点的に進める必要がある。
4. ワンポイント解説 2006年の家計消費
総務省「家計調査」によると、2006年の九州における1世帯当り家計消費支出は4.5%減の327万2,175円となり、全国に比べ減少率が大きかっ た。品目別にみると、増加したのは「光熱・水道」のみであり、「こづかい」等が含まれる「その他消費支出」や、「自動車購入」等が含まれる「交通・通信」 が減少に寄与した。