2006年7月号
A4版・56頁
2006年7月の要約
◎論文・レポート
多様化する韓国人の九州旅行
韓日FTAの主役の農産物と韓国の農業貿易
活況呈する居住用賃貸不動産投資の現状とその展望
◎ワンポイント解説
急増するインターネットショッピングの支出額
内容
1.多様化する韓国人の九州旅行
2004年の九州への韓国人入国者数は5年連続で過去最高を更新した。ウォン高によるツアー価格の低下やビザ取得免除の恒久化、韓国と九州を結ぶ海空の航 路増便等が、増大する理由である。最近は、複数の観光地を巡る周遊型旅行だけでなく、ゴルフやショッピング、ハイキングなど国内レジャーの延長として九州 を訪れる旅行者が増えている。こうしたなか、ソウルに事務所を設置して韓国企業のインセンティブツアー(社員への褒賞旅行)誘致に力を入れる宮崎・鹿児島 の企業・自治体、外貨両替サービスや翻訳機舶tき携帯電話の貸出など地域ぐるみで受入態勢を整える別府市、韓国人スタッフの採用や韓国語フロアマップ作成 などを進める福岡市内の商業施設など、九州では韓国人観光客をターゲットとした多様な取組が始まっている。
2.韓日FTAの主役の農産物と韓国の農業貿易
コメの輸入に関して、日本は1999年に、台湾は2003年にそれぞれ関税化転換したこともあり、韓国も関税化転換の可能性が高いとみられていた。しか し、2004年の主要国とのコメの輸入に関する交渉の結果、ミニマムアクセス(最小輸入義務)の増大等の内容を盛り込んだ関税化猶予の10年間延長で決着 した。猶予期間中であっても関税化転換は可能であるが、猶予期間における韓国のミニマムアクセス負担は比較的軽く、韓国におけるコメ輸入は情緒的・感情的 問題として激しい対立を引き起こす政治課題であるため、関税化転換は可能な限り遅らせることが望ましい。
3.活況呈する居住用賃貸不動産投資の現状とその展望
ファンドやREITを通じた不動産投資の多様化、地価下落による投資利回りの改善等により、福岡市をはじめ九州においても居住用賃貸不動産への投資が活況 を呈している。機関投資家・ファンド向けの一棟売り賃貸マンションの供給は、大手不動産会社が手がける場合が多い。そのなかで、福岡市内には投資家向けに 特化し、設計・施工を外注する等で効率経営を実現した企業がある。また、一棟売りRC造アパートというニッチな市場で健闘している企業も市内には存在す る。なお、機関投資家・ファンド向け一棟売り賃貸マンションに比べると、個人向けの木造・鉄骨造りアパートやワンルームマンションは、有利な投資とはいえ ない。
4.ワンポイント解説 急増するインターネットショッピングの支出額
インターネットを通じて買物をした人員がいる世帯の割合は2002年の7.3%から05年には10.8%と高まっており、家計の支出総額に占める割合も 0.22%から0.53%と増大している。また、2005年の財および旅行関連の支出の合計に占めるインターネット支出額の割合は1%を突破しており、低 迷する百貨店や商店街の売上に少なからず影響を与えていると考えられる。