2006年4月号
A4版・58
2006年4月の要約
◎論文・レポート
国民酒革命と清酒産地の変容
競争激化する通信販売業界
◎明日の九州・山口を担うベンチャー企業
株式会社 コムテック
◎ワンポイント解説
地価下落の沈静化目立つ九州・山口主要都市の都心
九州国立博物館の県外来訪者の経済波及効果
内容
1.国民酒革命と清酒産地の変容
2003年は、酒税額で本格焼酎が単独で初めて清酒を抜いた国民酒革命の年となった。清酒の市場縮小の主要因は、級別制の廃止や価格破壊による価格競争力 の低下である。清酒の産地では、兵庫・京都が一貫して高いシェアを占め、北陸・東北が躍進する一方、福岡・広島の凋落が顕著で再編が進んでいる。今後の課 題として、国民酒としての焼酎との棲み分けの追求、産地としての差別化、中小メーカーの自立などがあげられる。
2.競争激化する通信販売業界
2002年の九州の通信・カタログ販売業が小売業に占める比率は、全国に比べると低位にとどまっているものの、97年からの伸び率は34.7%増と全国の 2倍近い伸びを示した。ただし、事業所数が増加する一方で販売額が減少する県もみられ、競争が激化している様相がうかがえる。今後とも競争激化が構想され る通信販売業者には、消費者が求める商品・サービスを察知する先見性とマーケティング能力が求められよう。
3.明日の九州・山口を担うベンチャー企業 株式会社 コムテック
コムテック(宮崎市)は、畜産農家の経験に頼っていた雌牛の発情発見を、データ化し確実に発見するシステムを開発した。同社の発情発見システム「牛歩」 は、牛は発情期に行動量が多くなり歩数が増えることに着目したもので、既に数カ国で特許を取得している。目下、小規模農家向けの製品開発と合わせ、豚の発 情システムの開発も進めている。
4.ワンポイント解説(1) 地価下落の沈静化目立つ九州・山口主要都市の都心
2006年地価公示における九州・山口の各市区町村別最高地価地点、上位20地点について01年と比較すると、1位と2位以下の格差が拡大していることが 指摘できる。九州・山口の12都市別に最高地価地点(都心)から距離帯別に地価変動率をみると、過去1年間で、都心近くにおける地価下落の沈静化の傾向が 顕著となった。
5.ワンポイント解説(2) 九州国立博物館の県外来訪者の経済波及効果
2005年10月16日に開館した九州国立博物館は、06年2月19日に入場者数100万人を達成した。100万人を突破した時点での福岡県外からの来訪 者による福岡県内への経済波及効果(生産誘発効果)を試算したところ、直接効果は約48億円、最終的な経済波及効果は約73億円となった。