9/8、令和2年7月豪雨による九州の社会・経済への影響③を発表しました

 令和2年7月豪雨から2カ月が経過しました。2020年7月3日から約1週間にわたり発生した令和2年7月豪雨は、熊本県や九州北部、中部地方を中心に甚大な被害をもたらしました。
 浸水、土砂崩れなどの被害により多くの人命が失われるとともに、未だ多くの建物・事業所等が毀損している状態であり、さらに新型コロナウイルス感染拡大防止のため災害ボランティアの活動が制限されるなど、復旧が思うように進まない状況にあります。1日も早い復旧・復興がなされることを祈るばかりです。
 九州経済調査協会では、令和2年7月豪雨による九州地域(九州、沖縄県、山口県)の社会・経済への影響について調査を実施しています。本レポートでは、過去の災害による被害額を参考としつつ、今回の豪雨による事務所や商店、生産設備などの民間資本ストックの被害額を推計しています。なお、民間資本ストックは、農林水産業と中小企業の2つを対象としています。 さらに、被害を受けた民間資本ストックによってもたらされるはずであった生産額を計算することにより、豪雨被害による売上減少額を推計します。

民間資本ストック の被害額:2,967億円

 農林水産業の資本ストックの被害額:1,386億円

 九州地域各県の公表資料、ヒアリングを集計すると、九州地域における農林水産業の資本ストックへの被害額は、合計で1,386億円となりました。農業が最も大きく819億円、次いで林業の555億円、漁業12億円となってます。令和2年7月豪雨は非常に広い地域で農林水産業に被害をもたらしました。農林水産省が公表する「農作物等の被害」によると、東京都、沖縄県を除く45道府県で被害が発生しており、その被害額は1,935億円となっています。なかでも九州地域での被害が大きく、日本全体の総被害額の約74%を占めることとなりました。
 豪雨は、熊本県の人吉・球磨地域、芦北地域等において甚大な被害をもたらしました。九州地域の県別でみると、熊本県で最も多い910億円、次いで大分県177億円、福岡県82億円、鹿児島県74億円、長崎県65億円となっています。
 農業への被害は、農地・農業用施設の損壊のほか、農畜産機械や共同利用施設など幅広い範囲に及びました。林業は林地・林道施設への被害が大きいです。水産業は農林業に比べて資本ストックへの被害は少なかったが、河川の氾濫による海岸漂着物が多く発生し、漁場や漁港施設が被害を受けました。
 

中小企業の資本ストックの被害額:の資本ストックの被害額:1,581億円

 農林水産業以外の産業への被害状況及び被害額の把握は、広範囲に渡る調査や被害者からの報告が必要となるため時間を要します。本レポートの調査時点(2020年8月)では、一部の県や市が地元商工会の調査結果を公表していますが、それらの調査も対象が商工会の会員企業であり、豪雨によって広範囲にもたらされた被害の全容はわかりません。
 そこで本レポートでは、過去の豪雨による被害状況と被害額を推計のベースとして、令和2年7月豪雨の影響を推計しました。推計にあたっては、2018年6月28日から7月8日にかけて西日本を中心に広い範囲で発生した「平成30年7月豪雨」における「中小企業」の被害状況、被害額をもとにしました。産業への被害が住宅への被害(全壊、半壊、一部破損、床上浸水、床下浸水)と同じ傾向で発生したと仮定し、平成30年7月豪雨時の「中小企業への被害額」4,738億円と、令和2年7月豪雨の住宅被害状況をもとに推計を行いました。ただし、豪雨によるストックの損壊率は「民間企業資本ストック(農林水産業を除く)損壊率 」を使用しました。
 農林水産業以外の中小企業の資本ストックの被害額は、九州地域合計で1,581億円と見込まれます。県別では、熊本県が 1,102億円と最も大きく、次いで福岡県322億円となっています。2020年8月に公表した「浸水地域の人口・事業所数等の推計」で示したとおり、熊本県、福岡県のいずれも、卸・小売業、宿泊業・飲食サービス業への被害が大きかったとみられます。
 以上のように、令和2年7月豪雨による農林水産業、中小企業の資本ストックへの被害額は、合計で2,967億円となりました。

 

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