3/7、「令和6年能登半島地震による観光人流の変化」を発表しました

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 本稿では、デジタル観光統計プラットフォーム「おでかけウォッチャー(※1)」にて掲載している(株)ブログウォッチャーの観光人流データ「デジタル観光統計(国内版)」を用いて、2024年1月1日の令和6年能登半島地震発生後における北陸3県・周辺地域における日本人観光来訪者数の変化を分析します。
 分析に用いる「デジタル観光統計(国内版)」は、スマートフォンのGPS位置情報に基づく観光人流データです。ブログウォッチャーは、提携する140以上のアプリから個別に利用許諾並びに第三者提供許諾が取れている全国の月間3,000万人の行動ログデータ(5~15分間隔)を保有しています。これを各都道府県数百から数千箇所の観光地点(図表1)と照らし合わせ、GPS位置情報が任意の観光地点範囲内の連続して2回以上プロットされ、かつスマートフォンユーザーの推定居住地域から20km以上離れた人数を観光来訪者数として計上しています。なお都道府県(市区町村)別観光来訪者数は、域内のいずれかの観光地点で来訪が記録された人数を計上します。

 地震発生後、被害の大きかった輪島市、珠洲市などでは、被害の小さい地域の旅館・ホテルへの「二次避難」が推奨され、2024年2月1日時点では5,000人超が利用していました。宿泊施設以外にも、域外の親族・知人宅等に避難する被災者も多いと推察されます。これらの移動・滞在は観光人流とは異なりますが、位置情報データでは区別が困難です。このため本稿では、石川県能登地方(12市町)、富山県氷見市を発地とする観光来訪者は集計の対象外とします。また集計は日単位で、日別値の合計を月次値とします。

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(※1) https://odekake-watcher.info/

北陸3県の観光来訪者数: 観光主目的の比率が高い休日に大きく減少

 北陸各県の2024年1月における観光来訪者数は富山県で34.3万人、石川県で49.4万人、福井県で39.9万人でした。前年比は富山県▲2.8%、石川県▲0.1%、福井県+3.9%で、富山県・石川県では全国の+1.7%を下回っています(図表2)。
 地震などの災害発生後、被災地では観光を主目的とする訪問は減少することが大半です。一方で、救護活動、報道、被災者支援、復旧工事などを主目的とする新しい訪問も発生し、それらの一部が宿泊施設、道の駅など観光地点として登録してある場所へ来訪することが考えられます。位置情報データからは訪問主目的の把握は困難ですが、観光主目的の訪問は休日に、災害関連、特に業務・ビジネスに関する目的の訪問は平日に比較的多いと考えらます。データからも、被害の大きかった能登半島では1月以降、土日の来訪者減少、平日の来訪者増加により、平日と土日の日別来訪者数の差が縮小しています(図表3)。
 そこで、観光来訪者数を平日と休日(土日・祝日・年末年始(12月29日~1月3日))で比較すると、平日は富山県、石川県ともに全国を上回る前年比プラス幅を示す(+9.6%、+35.6%)のに対し、休日は富山県で前年比▲10.4%、石川県は同▲21.6%と大幅なマイナスを示していることが見て取れます。なお2月の休日に関しては、富山県は前年比+7.3%とプラスに転じましたが、石川県は同▲8.2%とマイナスが続いています。

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