• 子ども達に
    読んでもらいたい一冊
    最新書評
  • だるまちゃんとてんぐちゃん (2010/12/29)

    地元学をはじめよう (2010/08/04)

    星新一ショートショート1001 (2010/07/01)

    ★ もこもこもこ(2010/06/09)

    マザー・グースのうた第1集 (2010/04/07)

    立体で見る[星の本] (2010/03/18)

    トメック(世界傑作童話シリーズ さかさま川の水1)、 ハンナ(世界傑作童話シリーズ さかさま川の水2) (2010/03/18)

    ひさの星 (2010/03/18)

    image もっと読む
  • 瀬尾美智氏の書評一覧
  • ★ もこもこもこ(2010/06/09)

    立体で見る[星の本] (2010/03/18)

    もこもこもこ

    谷川俊太郎 作 ・ 元永定正 絵

    文研出版

    瀬尾美智(2010/06/09 掲載)

    「しーん」一面の青い世界。
    「もこ」地面から突如わきでる 紫の何か。
    「もこもこ」「にょき」何かはさらに膨れ上がり、隣にも生まれ、大きく大きく伸び上がり、あっ食べられた!?
    ページをめくるごとに驚きの展開。擬音語の羅列と鮮やかな色使いの変なカタチたち・・・うーん、この絵本を言葉で説明するのは実にナンセンス。何とも不思議な絵本なのです。
    大人って、ストーリーにオチや意味を求めてしまいがちですよね。初めてこの絵本を読んだ(見た?)大人達の顔には大抵「???」って書いてあります。しかしこれが子ども達には受けるのです。読み始めるととにかくくぎづけ!!私もおはなし会で、場の集中力が緩んできた時によく読みます。一応赤ちゃん絵本にジャンルされている事が多い絵本ですが、小学生の子ども達もそれまで読んでいたピカチュウから顔を上げて、あっという間に「もこもこ」ワールドに引き込まれているのを見るのは、ちょっと快感です。
    絵と色、音とリズムの絶妙なハーモニーが子ども達の想像力を刺激するのでしょう。読み手の声のトーン、読み方の緩急変えるだけで幾通りも違った印象で楽しめます。誰がどうよむか、いつ聞くかで無限のストーリーが生まれるのです。これぞ自由で無限の可能性を秘めているメディア、絵本ならではの魅力ではないでしょうか?
    人の好みは千差万別。日々書店店頭でお客様の選書をお手伝いしていて感じることです。同じ一冊に対して、真逆の評価を耳にすることは少なくありません。しかし人の感性に正否は無く、その全ての意見が真実で「あり」なのです。私が絵本を読むとき心がけていること、いろんな視点から楽しむということ。絵本に笑わせてもらい、目頭を熱くさせてもらい、驚かせてもらい、時に鳥肌を立たせてもらいます。その全てが心を耕してくれています。絵本や童話を読まずに育った子どもが大人になって、いきなり「蟹工船」を手にとるでしょうか?一書店人として子ども達の豊かな人生と未来の読書人獲得(?)を願ってやみません。
    『もこ もこもこ』お勧めの一冊です。創造力と感受性を育んで下さい。いやいや、こんな言い方はナンセンスですね。ただ、楽しんで下さい。

    P.S.『もこもこもこ』が好感触なら、他『もけらもけら』『んぐまーま』『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』もどうぞ!!

    プロフィール

    瀬尾美智

    あおい書店 博多本店 児童書担当