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志なき医療者は去れ!
尾形裕也
マスブレーン
信友浩一(2009/12/26 掲載)
近代化し豊かさが実感されるにつれ、医療の世界は貧しくなって来ているのではないか、という問題意識が生じてきている。近代化に拠る豊かさとは、ものが溢れるほどにありそして利用できる、と言う意味であるが。
すなわち人類は過去数万年に渡って「生老病死」に対して三つの世界を創り対応してきた。例えば「死」に対して①死は敵だ、として知性で対応するサイエンス・技術の世界、②死は当然のことだ、として感性で対応するアートの世界、そして③だからどのように覚悟して死んでいくのか、と言うスピリット・志の世界、の三つである。
日本人は死に方を忘れてしまったのでは!?との危機感から病院と言う場で「志」をベースにした医療経営に挑戦・抵抗してきたのが岩永先輩である。豊かな時代を享受することができない今、生き方・死に方の「志」を自問しながらさらに同僚に問いながら21世紀に相応しい病院を創設した物語が記されている。
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プロフィール
信友浩一
九州大学大学院医学研究院 教授